キミの手 キミの体温
変わってしまった宝珠のことが頭から離れなくて、昨日は全然眠れなかった。
担任に頼まれた資料を運びながら、もう何度目かわからない溜め息が口から零れ落ちていく。
「……職員室でいいのか?」
「周助っ」
トボトボと廊下を歩いていたら、後ろから声がして荷物がぐっと軽くなった。
にっと笑った周助の手には、さっきまでわたしが持っていた荷物が軽々と収められている。
「うちのクラス委員は頼りなくて見てらんねぇしな」
「だったら自分で持つよ」
「はは。ムキになんなって」
唇を尖らせてむくれたら周助に笑いながら受け流されて、ちょっとムカッとしてしまう。
もぅ。
周助はすぐに子ども扱いしてからかうんだから……。
こんな時はつい自分の低い身長と童顔を恨めしく感じる。