キミの手 キミの体温

「あんなん……その場しのぎの口約束じゃん」


「でも白奈の頼み、聞いてくれたんだろ」



そう言って舟瀬が小さく笑うから、なんか急に恥ずかしくなって思わず目を逸らした。


責任取るって言ったのなんてただの罪滅ぼしなのに。



「その代わり……その場しのぎの優しさなんだったら白奈は後からもっと傷付くことになる」


「…………」


「その気が無いなら断ち切るのも優しさなんだよ。その時は辛くても」



言い残して去っていく舟瀬が去り際にこちらを振り返った。


その顔は感情の読み取れない無表情で。


俺を戒めるようにも、試すようにも……もしくは縋ってるようにも見えた。



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