キミの手 キミの体温
結局、俺に舟瀬の表情の真意はわからないまんま。
ただ、中途半端な優しさは重ねていく程に後々に大きく傷付けてしまうのはわかる。
「気遣ってんのか?」
一足先にキッチンに戻った母さんに続こうと、テーブルの上の勉強道具を片付ける白奈に声をかけた。
もし気遣って手伝うってなら、夕飯自体が母さんが勝手に言い出したことだからする必要はない。
そう言おうと思ったのに。
「やりたいのっ。周助のお母さんのお手伝い」
まるでガキんちょみたいな笑い方して白奈が嬉しそうに言うから。
「……そっか」
だから俺は笑い返すしか出来なかった。
これってやっぱり……その場しのぎの優しさなんかな。
だったらコイツには悟らせない。
そしたら白奈は傷付いたりしないんだろ?
舟瀬が聞いたら呆れるかもしれねぇけど……。
これが今の俺なりの責任を取るってヤツだと思うから。