キミの手 キミの体温
風向き
「ねぇ千愛? なんで千愛のお弁当、舟瀬くんと一緒なの?」
昼休みになるなり電話を掛けに行った周助を置いて、いつものように屋上に来たんだけど。
大きさ以外はまるまるお揃いのお弁当を取り出したわたしと宝珠に、水希はわざとらしい高い声を出してわたしたちを見てる。
つまり冷やかされてるんだけど……。
「あぁ。俺が作ったから」
「へぇー。器用なんだ」
「白奈居るけど一応一人暮らしだし。それに……」
水希の冷やかしも交わしてにっこり笑った宝珠がわたしを一瞥。
いつもみたいな優しい笑顔に見えるけどなんだか含みがある。