キミの手 キミの体温
こんなことなら往復した方が早く終わってたのに。
後悔しても遅いけど。
右側と左側に下ろした荷物をこのまま廊下に置いとくワケにもいかないし……。
人気の無くなった廊下でひとしきり途方に暮れて、もう一度荷物の持ち手に手を伸ばした。
その時だった。
「職員室までですか?」
「えっ?」
「こっち持ちますよ。ついでなので」
持ち上げようとした右側の荷物が後ろからの声と共に無くなり。
慌てて振り返ったわたしの前には、わたしの荷物と日直日誌を持った見覚えのある男の子が居た。
確か彼は……コピー機を修理してくれた一年生の男の子だ。