キミの手 キミの体温

職員室に行くところだったのか。

道中でへばってたわたしを見付けて声を掛けてくれたみたい。



「ごめんね、また助けて貰って」


「いえ。あの先生人使い荒いって有名なので」



お言葉に甘えて恐縮してるわたしに彼はやっぱり、この間と同じ爽やかな笑顔を浮かべていた。



それにしても一年生にまで知れてるんだ……うちの担任の人使いの荒さ。



あれ……。


わたし、自分のクラス言ったっけ?



ふっと疑問が頭を掠めたと同時に職員室に到着。



浮かんでた疑問は能天気に入り口のわたしに手を振る担任の顔を見たら吹っ飛んだ。



1年生にまで人使いが荒いって噂されてんのに何食わぬ顔して笑ってる……。


どうせ本人は気にも留めてないんだろうな。



その証拠に、


「あぁ。葦原が手伝ってくれたのか。ラッキーだったな」


荷物を抱えて職員室に現れたわたしたちを見るなり言い放った一言がこれ。


……悪びれた風なんて全然ないんだから。


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