キミの手 キミの体温

「ありがとう。葦原くん」


「いえ。それじゃあ失礼します渋木先輩」


おかげで彼が一年の葦原くんだっていうことはわかったんだけど。


職員室前で別れた葦原くんは最後までずっと笑顔のまんまで。

担任の代わりにわたしの方が恐縮してしまう。


はぁ……また迷惑かけちゃったな。



「千愛っ」



職員室の前にはわたしを待ってくれていた宝珠が居て。


「ごめんね、待たせて」


手にはきちんとわたしのカバンまで用意されていた。


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