キミの手 キミの体温

駆け寄って宝珠の手からカバンを受け取ろうとしたら、


「はい、こっち」


代わりにからっぽだった宝珠の手のひらに包まれてしまう。



「買い物して帰ろう」



こう言って宝珠が優しく微笑んだ。


ちょっとの自己嫌悪と担任への不満を頭の中に浮かべてたのが一気に吹き飛んでしまう。



笑いかける宝珠に笑顔を返しながら、包まれてた手のひらをギュッと握り締めた。



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