キミの手 キミの体温

ただ……。
それを決めるのは白奈自身で。


切り出した俺の目に映った白奈の表情はひどく動揺していた。


「嫌なら断るよ」


戻れることにこしたことはないけど、白奈が望まなければ意味は無い。


黙り込んでしまった白奈に俺はじっと答えを待った。


……白奈は積もった母親への不信感と葛藤してるんだ。


「……周助のお家に行った時」


「えっ?」


「一緒にキッチンでご飯作ったの、周助のお母さんと」



沈黙の後にとつとつと話し始めたのは、この間の周助の家での話。


余程楽しかったのか。
あの日は帰って来るなり俺に話してたからな。


< 177 / 359 >

この作品をシェア

pagetop