キミの手 キミの体温
「ふーん。あっそ」
わたしの答えに納得したのか、周助は別段興味もなさげに視線を前へと外した。
うまく誤魔化せたみたい、良かった……。
職員室の入り口まで後少し。
自然と早くなった足が一歩、並んでいた周助より出た瞬間、
「なんて言うと思ったら大間違いだっつーの。ボケ千愛」
「痛っ! 何するのよ周助!」
いきなり後ろから後頭部を小突かれて、思わずくるりと体を翻して周助に向き直った。
「嘘ついて誤魔化したからお仕置き」
「誤魔化してなんかないよっ」
「ほらまた」
「えっ……」
資料で塞がっていた両手の代わりに、目線を合わせた周助の顔がぐっと近付く。
間近にある周助の焦げ茶色の瞳には、動揺して目を見開いたわたしが映ってた。