キミの手 キミの体温

「宝珠はわたしの大切な人だもん。だから傍に居たいって」


「……バカ」



そう言ってわたしを抱きしめた体からは同じ石鹸の匂いがする。



宝珠と想いが通じ合った日。
昔に両親がわたしに教えてくれたことを思い出していた。



“千愛って言う名前に愛をたくさん詰め込んであるんだよ”


わたしは一人っ子でたくさんの愛情を貰って育てられてきたから。


そう伝えたら首を振って否定された。



“大切な人が出来たらたくさんあげられるようにだよ“



だから、わたしはわたしの大切な人に持ってる愛を全部あげるって決めたんだ。



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