キミの手 キミの体温
いつも一人で眠るベッドに千愛が居る。
俺の手をギュッと握って小さな寝息をたてていて。
堪らなく可愛いくて愛おしいって気持ちが込み上げた。
……俺の体が綺麗だったらきっと迷わず千愛を抱けるのに。
今ほど自分を嫌いだと思ったことは無い。
母さんに独り遺された運命も、信頼していた唯一の肉親に犯された傷も全部が嫌な思い出。
だから俺は千愛が笑いかけてくれることだけに支えられて生きてきた。
隣に在る桜色の頬にそっと触れてみる。
くすぐったそうに少しだけ身じろいだ千愛がキュッと体を寄せて、
「んっ……宝珠?」
薄く開いたまぶたが何度か瞬きをして俺を探す。