キミの手 キミの体温
臆病風 side宝珠

心地好い眠りは瞬く間に覚めてしまう。



まだ起きたくない……。



せっかく千愛の体温が俺に移って全身が幸せに侵食されたっていうのに……。



無粋にもうるさく鳴り響く電話の音で仕方なくまぶたを開いた。



目の前には千愛の寝顔があってフライングしておはようのキス。



起きてるときの照れた顔もイイけど無防備な寝顔も可愛い……。



なんて惚気てる場合じゃなかった。



幸せなムードを邪魔するバイブ音に手を伸ばせば意外な名前が表示されていた。


“須藤 紅音(あかね)”



白奈の母親の名前だ。



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