キミの手 キミの体温

ギュッとまぶたを閉じても浮かんでくるのは眠気じゃなくて白奈のこと。



わざわざ前の日に意味深な電話かけてきたりまでして、オチはモーニングコールという名の嫌がらせ……。


とんだ茶番だ。


ホント心配して損した。



眠りを妨げられた恨みが頭の中にはあるのに。



「…………」



何故かさっきからずっと胸騒ぎみたいなのがしてる気がする。



「あーっ! なんなんだよっ」



掛け布団を蹴飛ばした勢いのまま体を起こして頭を掻きむしる。



高ぶった気持ちを抑えようと思って、上着を羽織ってマンションの外に出た。


外の空気が吸いたいなんてのは多分口実だ。



ホントは心配で気になって仕方なかったんだ。


アイツのことが。



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