キミの手 キミの体温
「だったらなんで白奈は家から抜け出して来たんだ?」
「……わかってないんだ」
「えっ?」
「母親の気持ち。仕事を優先したのも白奈を守る為、再婚だって白奈の為なのに全部母親の我が儘だと思ってる」
膿が堪え切れずに零れ出していく。
くさくさした気持ちが言葉の端々に浮かんだ。
そんな俺に周助は一瞬不思議そうな表情になる。
それでもただ黙って頷いて、
「心配してんだな。アイツのこと」
一言だけ呟いてまた小さく笑みを浮かべていた。