キミの手 キミの体温
マンションの下で会った時のピリッとしたような空気が舟瀬から消えた。
……まぁ、これなら白奈と会わせても大丈夫か。
なんてちょっと安心してた俺が甘かったって思うのは後の祭り……。
「……宝珠」
「黙って出てったから心配してたぞ。紅音さん」
時計の針はとっくに一限が始まってる時間を差していた。
家には俺たち3人以外は居なくて、玄関で待っていた白奈を見るなり舟瀬が小さくため息を漏らす。
「だって……いきなり一緒に暮らそうって。今までほったらかしてた癖に……」
こう小さく言って白奈はしゅんと視線を足元に落とした。