キミの手 キミの体温


舟瀬は何も言わずに白奈を見つめている。


口を噤んだその表情はどことなく険しさが漂っているみたいだった。



「あたし帰りたくないよっ」


白奈の長い指が舟瀬の腕に触れ、



「このまま宝珠と暮らしながら高校に行く!」



必死に訴えかけるように舟瀬の顔を見つめていた。



「ほったらかしって……。仕事ばっかりしてる紅音さんに腹を立てて出てったのはおまえの方だろ」


「えっ……」


「帰ってちゃんと話しろ」



言い放った舟瀬の顔は無表情でやたら迫力があって。


それを見つめ返す白奈の瞳が微かに揺れはじめた。



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