キミの手 キミの体温

突き放したような口ぶりに白奈の瞳にみるみるうちに涙が溜まっていく。



仕事優先の母親からほったらかされた傷を舟瀬に救われた。


なのに、信頼していた舟瀬が母親の味方をしたら……。



「……宝珠は白奈を追い出したいんでしょ」



裏切られたって思うんじゃねぇか?


舟瀬のホントの気持ちも母親の想いも汲み取れないまんま……。



「宝珠もママみたいに白奈が邪魔になったんでしょ! だからっ」


「……勝手にしろっ」



誤解されてしまう。



涙を零す白奈の指を振り払った舟瀬がそのまま玄関から出て行ってしまった。


< 229 / 359 >

この作品をシェア

pagetop