キミの手 キミの体温
もしホントに邪魔なら、白奈のことは適当な理由を付けてとっくに追い出してるはずだ。
……じゃなかったらわざわざ他人を預かって面倒見るワケがない。
それでも白奈を自分の家に置いてたのは、白奈自身の意見を尊重したから。
白奈が自分から帰りたいって思える日が来るようにって。
「……おまえ、舟瀬のこと何もわかってねんだな」
「え……?」
「おまえは自分のことしか考えてない。……だから舟瀬は帰って母親の話を聞けって言ってたんだよ」
同じ失恋の痛みを持つ者だから……。
責任を取るって言った俺なら味方をしてくれるって思ってたのか。
予想外の俺の言葉に、こちらを見つめていた白奈の泣き顔が悔しそうに唇を噛み締めた。