キミの手 キミの体温
「……母さん、ごめん」
命懸けで守られた命なのに粗末に扱って。
俺にはちゃんと愛し愛される人が居るのに他人を羨んで……。
こんな風に母さんに縋り付くなんて格好悪いな、俺。
「千愛のところに戻るよ」
今日の授業には間に合わないけど。
それでも待っててくれる人が俺には居る。
去り際。
そっとお墓に触れた瞬間、一陣の風が吹き抜けた。
“早く戻りなさい”
まるで母さんがそう言ってるような気がして。
俺は足早に学校に向かって足を進めていった。