キミの手 キミの体温
白奈ちゃんのこと大丈夫なの? とか。
周助も一緒? とか。
聞くべきことは色々あったのに、
「印刷室だよっ」
慌ててたせいか、とっさに返したのはこの一言だけ。
「わかった。そっち行くよ」
そう言って電話が切れてしまった耳元が物足りない。
もうすぐ会えるってわかってるのに欲張りだな……。
そんなわたしを落ち着かせるかのように。
「今日はコピー機の調子良さそうですね」
「あっ」
背後から掛けられた声で慌てて振り返ると、
「こんにちは。渋木先輩」
前に会ったときと同じ、爽やかな笑顔を浮かべた葦原くんが立っていた。