キミの手 キミの体温
閉じた扉
“千愛にはわかんないだろっ!”
聞いたこともないような宝珠の声と視線。
まるで感情を凍り付けにでもしたみたいに冷たくて哀しい顔。
再会した頃の眼差しに似てるけどもっともっと強い拒絶と苦しみ。
だからこそ宝珠の傍に居るべきなのに……。
足がすくんで動けなかった自分が悔しくて堪らない。
ポロポロと零れる涙は拭っても拭っても溢れてきた。
「大丈夫? ……なワケないか」
滲んだ視界の右端にふわふわのハンカチが差し出されて、
「…………」
傍らで水希が力無く笑っていた。