キミの手 キミの体温
それでもここから動くことが出来なかった。
悲しいけどわたしにはわからないから……。
他に宝珠が居そうな場所を知らない。
……もっと話しておけば良かった。
瑠璃おばさんと死に別れた後のこと。
昨日ソファーで見せた苦しそうな表情の理由も……。
待ってるだけじゃなくて歩み寄るべきだったんだ。
これが……拒絶されるのが怖くて宝珠の傷を見て見ぬ振りをした結果。
開かない扉の前で動けないまま。
身体と濡れた頬はただ、夜風にさらされて冷えていくばかりだった。