キミの手 キミの体温

「……何ですか」


「お見舞い」


「だから何の……」



昼休みで人の溢れる一年生の校舎で、ふらっと廊下に出て来た顔に持っていた湿布を投げてやる。


突然の湿布を投げられて面食らった葦原くんに、



「昨日はどうも……プリントありがとう」



薄く笑みを浮かべてひらひらと手を挙げた。



「昨日殴ったからッスか?」


「ていうより……それで頭冷やせ、みたいな」


「はは……足りませんよ。一枚じゃ」



呆れたように失笑した葦原くんの顔をじっと見つめた。



そのまま葦原くんの後ろにちょこちょことくっついてやって来たのは、非常階段の踊り場だった。



そこでわたしに振り返った葦原くんがじっとこちらを見つめている。



これは話を聞いてくれるってことなのかな。



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