キミの手 キミの体温
言い淀んで黙り込んだわたしの頭にポンと手が触れて、
「先輩の名前を教えてください」
「えっ……佐々岡 水希だけど」
窺うような葦原くんの視線がじっとわたしを見据える。
「水希先輩。もし先輩の大切な人が誰かのせいでずっと苦しんでたら……水希先輩はどうしますか?」
投げ掛けられた質問の重さと見据える視線の強さに全身の感覚が搦め捕られる。
試すような窺うような声色なのに、瞳はまるで縋るように小さく揺れていた。
「傍に居る。それ以上苦しまないように頑張って支える……と思う」
「思う?」
「うん……前は出来なかったから」
自信を持って言い切れないのが格好悪い気がしたけど。
こう言い切るにはまだ足りないモノがわたしにはあった。