キミの手 キミの体温
side優雅
水希先輩の髪に触れた指がジンと痺れた。
“傍に居る。それ以上苦しまないように頑張って支える”
あの時の俺にこんな風に言ってくれる人が居てくれれば……。
二人を傷付けたりしなかったのかもしれない。
俺が異母兄弟の舟瀬 宝珠を憎んでた理由は一つ。
結婚前の葦原 宰(つかさ)と舟瀬 瑠璃の間に産まれた一人息子で忘れ形見だからだ。
葦原 宰には跡取りとして結婚すべき相手が居た。
それが俺の母親の優美(まさみ)。
瑠璃との関係を終わらせ、予定通り宰は俺の母親と結婚した。