キミの手 キミの体温
“白奈の為に頑張ってる”
嬉しかったはずのママの口癖は気が付けばあたしの一番嫌いな言葉になってた。
確かに。
……パパとケンカしてる姿は嫌いだった。
あたしの為に働いてくれる姿もカッコ良くて好きだった……。
だけどあたしが一番欲しかったのはママの体温。
一緒にご飯を食べながらお喋りして笑ってる……そんなささやかな時間が欲しかった。
“白奈の為に頑張らなくていいから一緒に居て”
家を飛び出した時から言えないまま、ずっとあたしの心につっかえてる言葉が込み上げてきた。