キミの手 キミの体温
轍 side水希
“ごめん……でも、俺は……傍に居て欲しかったんだ”
言われたのは二年前。
大好きだった彼の部屋で見た浮気現場から逃げ出したわたしに彼が言った言葉。
彼はうちの学校でもずば抜けた秀才で、先生や両親にも期待を寄せられていた。
けど、彼自身はそんなことを全く鼻にかけない気さくで優しい人だった。
そんな彼だからわたしは惹かれて……。
そして邪魔はしないって決めていた。