キミの手 キミの体温
走り去るわたしを追いかけて来た彼の顔は辛そうに歪んでいて……。
こんなに追い込まれてるなんて気付けなかった自分に腹が立った。
そして、
「放ったらかしにしてた水希が悪いんだから」
浮気相手だった友達が最後に言い放ったのがこの台詞。
彼に相談されながらもそれをわたしに隠して……寝取ろうとした。
友達と彼に同時に裏切られたことに悲しみと怒りが全身を巡る。
だから。
この時わたしは決めたんだ。
大切な人の傍は離れない。
友達を悲しませることはしない。
自分が受けた傷をわたしは与えないって、そう自分自身に誓っていた。