キミの手 キミの体温

走り去るわたしを追いかけて来た彼の顔は辛そうに歪んでいて……。



こんなに追い込まれてるなんて気付けなかった自分に腹が立った。



そして、



「放ったらかしにしてた水希が悪いんだから」



浮気相手だった友達が最後に言い放ったのがこの台詞。



彼に相談されながらもそれをわたしに隠して……寝取ろうとした。



友達と彼に同時に裏切られたことに悲しみと怒りが全身を巡る。



だから。
この時わたしは決めたんだ。



大切な人の傍は離れない。

友達を悲しませることはしない。



自分が受けた傷をわたしは与えないって、そう自分自身に誓っていた。


< 303 / 359 >

この作品をシェア

pagetop