キミの手 キミの体温
「……優しいですよ。二人の為に二人を傷付けた俺にわざわざ会いに来たりして」
「ちが……」
「渋木先輩も兄さんも傷付けて追い詰めた俺なのに」
「違うっ。わたしは葦原くんの気持ちを知りたい」
二人を傷付けた張本人なのに。
胸が痛むのは目の前に居る彼が放っとけないから。
じっと見据える葦原くんの瞳に映ったわたしはひどく動揺していて。
不意に伸ばされた葦原くんの手が髪に触れてもそれを拒めない。
二年前と同じ轍を踏みたくない。
目の前の彼をわたしが大切に感じてるのかわからないけど……。
気が付けば不安定な葦原くんの心を支えてあげたいって気持ちがわたしに根付いてた。