キミの手 キミの体温
わたしの目を見つめたまま口を噤んでいた葦原くんが、
「じゃあ俺の約束も聞いてよ」
「……なに?」
腕を掴んでいたわたしの手をキュッと自分の方に引き寄せた。
制服越しに伝わる熱を押し付けるようにキツく抱き寄せられる。
「愛して」
「えっ……」
「あなたが愛してくれたら俺、優しい人間になれるから。そしたらきっともう誰も憎んだり傷付けたりしない……」
耳元で囁かれた声は甘さなんかよりずっと切なさだけが滲んでいた。
愛するなんて今すぐには言えないけど……傍に居て支えてあげる。
小さく呟いたわたしを抱く腕に答えるように、背中に回した手をギュッと握り締めた。