キミの手 キミの体温
居ないってわかってるのに足は宝珠のマンションの方に向かうのをやめてくれない。
何度かけても繋がらないのに電話をかけずにいられない。
どんな方法でもイイ。
宝珠と繋がる術が欲しかった。
「……どこに居るの?」
無機質な応答メッセージだけが耳の奥に響いている。
何があっても傍に居るって約束したのに……。
わたしはまた宝珠との約束を破ってしまうの……?
気が付けば頬を幾粒もの涙が伝っていた。
瞳から溢れる雫が視界を隠す先に、
「……泣かないで」
「っ……」
綺麗に畳まれた空色のハンカチが差し出された。