キミの手 キミの体温

そこに書かれていた名前に思わず見開いた眼差しで彼の顔を見上げた。



初めて会うこの顔に既視感を覚えた理由がようやくわかった。


だってそこに書かれていたのは……。



「初めまして。こう名乗るのは恐れ多いが……宝珠と優雅の父です」


「っ!!」



葦原 宰。



目の前にいるこの人は正真正銘の二人のお父さんなんだ。



「宝珠はどこなんですかっ? わたし……どうしても会いたいんです!」



もし水希が言ってた葦原くんが見つけてくれるって言うのがこのことなら。


この人なら宝珠に会わせてくれる筈。



そう思ったら脇目も振らずに葦原さんの腕に縋り付いていた。


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