キミの手 キミの体温
「落ち着いて。……私もそのつもりでキミを訪ねて来たんだ」
「……えっ」
「三日程前から宝珠はずっと閉じこもったきり。……食事もろくに摂らないんだよ」
「そんな……」
そう言った葦原さんの顔は憂色を漂わせていた。
心が騒ぎ出す……。
やっぱりあの時、振りほどかれた手を無理矢理掴むべきだった。
宝珠を独りぼっちにしちゃダメだったんだ……。
「……お願いします。早く宝珠の所へ行かせてくださいっ」
もう数え切れないくらい後悔した。
でも、それじゃ宝珠の傷口は塞がらない。
例え拒まれたってちゃんと顔を見て伝えなきゃいけない。
わたしには宝珠が必要だって。