キミの手 キミの体温

ぼんやりと頭上の空を拝みながら、ふーっと紫煙をくゆらせた。


昔から無駄に勘だけは良い。


たまにそれが裏目に出ることもある……。



今思えば、千愛はずっと俺を友達以上には見ていなかった。


それに早くから気付いてたのに、気付かないふりして付き合い続けてた。



あぁ、きっと他に好きな奴がいんだな。



この時程、自分の勘の良さが恨めしかったことはない。



……いっそのこと気が付かなければ、付き合っていた間だけでも幸せだったのかもしんないのに。



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