キミの手 キミの体温

それでも。
私立の女子校に通う恵璃にとって男子大学生の家庭教師は物珍しかったらしく。


たいして役に立っていない家庭教師を辞めさせようとはしなかった。



こうしてダラダラとつまらない時間を過ごす中で見つけてしまった。



家柄とは縁遠そうなラフなスタイルをした女の子。



真面目で大人しい恵璃とは正反対に天真爛漫な姉の瑠璃だった。



瑠璃は大学の四回生で美容師志望。


親の決めた大学に通いながら夜間の美容学校に通う妙な肩書きの持ち主だった。



舟瀬家では両親の悩みの種にらしいが、恵璃にとっては自分にないモノを持つ憧れの存在らしい。



「お姉ちゃんはカッコイイ」



そんな恵璃の話を聞いてるうちに、気付けば心が彼女に惹かれ始めていた。

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