キミの手 キミの体温

最初に近付いたのは単なる興味本位。



「なんで美容師なの? 黙ってたって大学卒業したら一流企業への就職は確実だろ?」



なんて訳知り顔で話しかけた俺に、少しムラになった栗色の髪を指先に絡めて一言。



「だって面白くないじゃない。そんなの」



そう言ってにっこりと笑った顔に一目惚れした。



周りの価値観でなく自分の価値観で生きてる姿がやたらに新鮮で。



それからは瑠璃の価値観というものに嵌まりたくて無我夢中になっていった。


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