キミの手 キミの体温
高いプレゼントより心に残る思い出。
これが瑠璃を喜ばせる一番の条件だった。
その為にならなんだってした。
一緒に話題のスイーツの店にわざわざ並んだり。
日の出が綺麗な海岸に向けて夜通しでドライブしたり。
手作りのケーキに指輪を埋めてみたり……。
汗だくになって着ぐるみを着たこともあった。
周りから見れば些細なことでも瑠璃はいつだって楽しそうに笑ってたから。
自分たちの関係が終わりのあるモノだということも忘れそうになってしまっていた。
瑠璃と出逢ってから3年。
事業家だった父が体調を崩し、表舞台から引退することになった。
これをキッカケに。
私は決められていた結婚相手と正式な婚姻を結ぶことが確実になってしまったのだ。