キミの手 キミの体温

最初から決まってたこと。


なのに苦しくてたまらない。
胸が押し潰されてしまいそうだった。



例え結ばれないとわかっていても瑠璃を心の底から愛していた。



今まで積み上げてきたもの全てを投げ出しても良いと思えるくらい……。



でも、



「ダメよ。宰は周りを悲しませたくないんでしょ? 宰は優しい人間だから」



私の置かれている立場を一番理解してくれていたのは瑠璃だった。



二人で逃げようと申し出た私の手を取り、



「わたしはもう十分。宰にたくさん幸せな思い出をもらったわ」



微笑んだ瑠璃に思わず涙が零れた。


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