キミの手 キミの体温

それから瑠璃と二人で決めた通り一切連絡は取らなかった。



ただ。
大学生になった恵璃が私の前に現れるまでは……。



「お姉ちゃん、相手を言えない子どもを産んで家から追い出されたの。舟瀬の恥だって」



手切れ金と称した金と共に勘当されたという瑠璃の今を聞いて心がざわつき始めた。



もう会わない。



瑠璃と決めた約束を破りたくないという気持ちの反面で、瑠璃が心配で気になって仕方なかった。



そんな私の心情を察したのか。
はたまた敬愛する姉が心配だったのか。



この日から恵璃は瑠璃とその子どものことを報告してくれるようになった。


< 329 / 359 >

この作品をシェア

pagetop