キミの手 キミの体温
ずっと優美が見て見ぬふりをしてくれていたとも知らず。
私のこの言葉は優しく繊細な優美の心を深く傷付けてしまった。
体が強い方では無かった優美は度々臥せるようになり。
優雅はその傍らで私をいつも恨めしげに見つめていた。
心の底から愛した人との約束を破り、守ると決めた人たちすら守り切れない……。
せめてもの償いで優美の傍に居ようにも、心を壊した優美に私の声が届くことは無かった。
結局そのまま。
最期まで優雅だけを愛して亡くなった優美をただ見ていることしか出来なかった。