キミの手 キミの体温
何不自由無く恵まれた環境で育ってきた自分は……自分の愛する人たちを誰一人として守れなかった。
本当に欲しいモノなんて一つも手に入らなかった……。
もう誰も愛さない。
失った愛する二人への償いの為に生きていく。
その為に、二人の忘れ形見である宝珠と優雅を二人の分まで愛して生きていこう。
そう堅く誓った私の前に恵璃が現れた。
宝珠を引き取りたい旨を告げようとした時。
「ずっと好きだった……お姉ちゃんの代わりでも良いから愛して欲しい」
抱き付きながら縋るように愛を告白されて頭の中が真っ暗闇に覆われた。
私は恵璃を受け入れられない。
そう告げれば恵璃が傷付くとわかってても。
私には恵璃を受け入れることなんて出来なかった。