キミの手 キミの体温
まさか私の選んだ答えのせいで。
長年募らせた想いを拒まれた恵璃が、亡き瑠璃への嫉妬と相俟った怒りと絶望の捌け口に宝珠を傷付けるなんて……夢にも思っていなかった。
“二度と宝珠の前には現れない”
泣きながら私に訴えた恵璃から宝珠を引き取った時にはもう遅い。
瑠璃に似た面影の中で、瞳は何もかもを諦めたかのようにギスギスとしていた。
初めて会った我が子の変わり果てた顔付きに愕然とする。
かつて恵璃が持って来た写真の中で瑠璃と一緒に笑っていた頃の輝きは完全に失われていた。