キミの手 キミの体温
手のひら
気が付けば窓の外は夕暮れと夜の境目に差し掛かっていた。
葦原さんの話が終わる少し前から車は路肩に寄せられ、ずっと前だけを見ていた顔が助手席に向けられる。
葦原くんが言っていたことは事実だった。
だからわたしの肌に触れた宝珠は、この時のことを思い出して苦しそうにしてたのかもしれない……。
「泣かせるつもりは無かったんだが……すまないね」
「…………」
瞳からポタポタと落ちた雫が膝に置いていた手を濡らしていく。
困ったように自嘲した葦原さんにただ首を振って否定した。