キミの手 キミの体温
だからこそ傍に居てあげたい。
わたしなら抱きしめてあげられる。
愛してあげられる。
一緒に未来を歩いていけるから。
「……宝、珠」
「…………千愛?」
薄暗いリビングでぼんやりと壁にもたれた宝珠が宙を仰いで……わたしを見上げた。
呼びかけたわたしを捕らえた瞳が見開かれた瞬間。
「宝珠っ!」
涙が溢れ出したのと同時に床に座り込んだ宝珠の体を目一杯抱きしめていた。
まるで小さい子どもみたいに声をあげて泣きつづけるわたしに、
「千愛……泣かないで」
宥めるようなか細い声が優しい手つきで何度も頭を撫でてくれた。