キミの手 キミの体温
「俺に触らないで」
「どうしてっ? わたしは宝珠に触れたいよ」
「話聞いたんだろ? 俺は汚い。憎まれて犯された汚い体だから……」
千愛に相応しくない。
途切れそうなか細い声で呟いた宝珠の手が、頬を包んでいたわたしの手を掴んだ。
わたしを離そうとする力に抗い、
「宝珠は汚くなんて無い。わたしは今の宝珠が大好きだよ」
そっと囁いて宝珠の唇に触れた。
冷えてかさついた唇に何度も何度もキスをしていく。
こうして移っていく体温と一緒に少しでも気持ちが伝われば良い。
そう思いながら、
「宝珠が大好きだよ。ずっと傍に居るよ」
呪文のように繰り返しながら指先や頬やまぶたに口づけを落とし続けた。