キミの手 キミの体温
クラスメートの前では愛想のいい転入生も、
「ほ……舟瀬くん」
「……なに?」
わたしが声を掛けた途端、あからさまにトーンが下がる。
瞳も声色も……。
いつの間にか空っぽになった放課後の教室に、ピリッと張り詰めた空気が漂った。
宝珠が興味なさげにわたしから視線を外し、机に置いていたカバンを手に取る。
……わたしとは話をする気も無いってこと?
せっかく出した勇気も萎んでしまいそうになる。
でも決めたんだ。
周助が言ってくれたみたいに、ちゃんと宝珠と話をするって。