キミの手 キミの体温
「この間、わたしのこと忘れたって言ってたよね」
「…………」
なるべく笑顔は絶やさないように。
「でも、せっかく会えたんだからやっぱり思い出して欲しいんだ」
「…………」
出来る限り声が震えないように。
「わたしはずっと会いたくて……」
冷たい眼差しに負けてしまいそうな心を奮い立たせて、制服のポケットから生徒手帳を取り出した。
そこにあるのは、ずっと肌身離さず持ってた二人で撮した写真。
ずっと冷めた瞳で見下ろしていた宝珠の顔が微かに変わった。
軽く見開いた宝珠の瞳を、じっと見つめて祈る。
お願い、思い出して……。