キミの手 キミの体温
「女子は喜べ男子は泣け。今日から二年B組所属になる舟瀬 宝珠(ほうじゅ)くんな」
担任によってダラダラと緩い口調で紹介された舟瀬くんは、ペコっと軽く会釈してみせた。
悲喜交々で沸き立つクラスにやっぱり顔色は変わらないままだ。
わたしの後ろの空っぽだった机に促されて、舟瀬くんはクラス中の視線を浴びるようにしてゆっくりとこちらに歩いてくる。
一歩、二歩……。
横切る瞬間が近付いてくるにつれて、わたしの胸が激しく脈打った。
それもそのはず。
だって彼は……、
「…………宝珠」
ずっとずっと想い続けてきた男の子、その人だったから。