キミの手 キミの体温
「……ご、めん」
おずおずと生徒手帳を制服のポケットにしまう手が震えてしまう。
泣いちゃダメだ、泣いたらもっと……鬱陶しがられる。
そんな意地だけで必死に涙を堪えるわたしに目もくれず、宝珠はさっさと教室から出て行ってしまった。
途端に涙が溢れて、力無く下ろしてた左手でまぶたを擦る。
かける言葉がこれ以上見つからない。
わたしは宝珠と話すことすら出来ないの?
せっかく周助が背中を押してくれたのに……。
こんな自分が情けなくて。
伝えきれなかった言葉の代わりに、涙はひっきりなしに零れ落ちていった。